スペースXの成功はイーロン・マスクに火星都市建設のリアリティを与えた
現地時間2015年12月21日、スペースXはファルコン9ロケット(20号機)を打ち上げ、搭載していた衛星11機すべての軌道設置に成功し、さらに第一段ロケットを地上へ垂直着陸させる偉業を成し遂げました。
スペースXのCEOであるイーロン・マスクはファルコン9の垂直着陸成功を「火星で都市を建設するために重要なステップ」と表現し、「(再使用可能ロケット)なしでは手頃な価格になりません。垂直着陸の成功で火星での都市建設が可能だという確信をおおいに深めることができました。」と述べました。
ファルコン9は毎回約72億円をかけて打ち上げていますが、そのうち燃料費は約2500万円。イーロン・マスクはその点を強調し、ロケットが再使用可能になると「長期的かつ潜在的にはおそらく100分の1以下のコストになるでしょう」と語ります。
ファルコン9が着陸能力を有していることは証明されましたが、本当に再使用可能かどうか判断するにはもう一度同じロケットブースターで打ち上げを成功させる必要があります。
しかし、イーロン・マスクは今回のロケットブースターを今後の打ち上げに使う予定はないと言います。「このロケットブースターは地上にとどめておくでしょうね。理由は単にこれが特別だからというだけです。私たちが持ち帰ることができた最初のものですから」とのこと。
ただ、それはそれとして、スペースXはこのロケットブースターが再度打ち上げに耐えられるということを証明するだろうともイーロン・マスクは付け加えています。
イーロン・マスクによると、スペースXは2016年のどこかでロケットブースター(今回のものではありません)の再使用を狙っているそうです。
ロケットの打ち上げコストの削減は火星へのチケット価格が下がることを意味します。火星へ向けて一歩前進ということですね。
いぜんイーロン・マスクは火星への有人飛行は9~11年以内に可能だと予想していました。ただ、NASAは2035年を火星飛行のターゲットとしています。これらの予想を早いととるか遅いととるかは人それぞれでしょうが、いずれにせよ人類の火星到着が時間の問題となってきているのは驚きです。
イーロン・マスクは今回の成功を「革命的な瞬間」と表現しました。このような1つ1つの「革命」の積み重ねが火星への道となるわけですね。彼の頭のなかではすでに火星の都市で暮らす人類が思い描かれているのでしょう。