イーロン・マスクのすすめ

イーロン・マスクに学ぶプレゼンの3つの極意

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テスラの発表でイーロン・マスクがおこなったプレゼン。とても素晴らしいプレゼンだったのでかなり話題になっていました。このブログでも一度やりましたが、あらためて記事にしたいと思います。各所で様々な考察が出ていましたし、プレゼンも数回見直しました。そして、やはりこのプレゼンには重要な要素が詰まっていることが分かりました。今回、それらの要素をプレゼンの3つの極意としてまとめてみました。




1.製品の存在意義をとことんまで突き詰める

最初にイーロン・マスクは人類の抱える最も大きな差し迫った問題を提示しました。化石燃料への過度な依存によって引き起こされる環境問題です。誰もが解決しなければいけないと思う重要な問題ですね。そして、この問題は太陽光発電への移行で解決できると断言します。人類のエネルギー源を化石燃料から太陽光に変える。そのために必要な製品はバッテリーです。太陽光発電の問題点は蓄電だからです。従来のバッテリーはコストを含め様々な面で不十分でした。そこで、テスラはまったく新しい安価なバッテリーを提供する。イーロン・マスクは重要な問題、解決策、そのための手段という論理展開の中で、テスラのバッテリーの存在意義をこれ以上ないほどわかりやすく明確にしました。消費者は製品やサービスを購入するのではなく、問題に対する解決策を購入するのです。製品の性能やかっこよさも大事ですが、製品がどのような問題に対してのどのような解決策になるのかを的確に示さないといけませんね。そのためには製品の存在意義をとことんまで突き詰めていくことが必要です。




2.必要な情報を厳選する

骨子となる論理を支えるには具体的な情報が必要です。イーロン・マスクが提示した具体的な情報は、大気中のCO2濃度が毎年上昇していることを示すキーリング曲線、アメリカを化石燃料依存から脱却させるために必要となるソーラーパネルとバッテリーの総面積、新しい製品であるバッテリーの価格と入手方法、世界中を化石燃料依存から脱却させるために必要なバッテリーの数とそれが実現可能な数字であることを示す実例です。プレゼンにおいて提示される具体的な情報の数としてはかなり少ない方だと思います。つまりイーロン・マスクは必要最低限の情報を厳選したということです。本当に重要なのは問題と解決策という文脈の中で製品の存在意義を明確にすることなので、詳細なデータはあくまでも補足だということを理解しなければいけません。もちろん補足として具体的な情報がないとプレゼンに説得力が出ませんので、必要な情報を厳選することが大事なのですね。




3.すべては聞き手のために

今回のプレゼンでは写真のスライドやビデオ、デモンストレーションなど、聞き手の様々な感覚を刺激する工夫が施されていました。テキストに偏ったプレゼンは皆さん飽き飽きしていますよね。聞き手の集中力を高めるための工夫が必要です。特に今回のプレゼンの中盤でおこなわれたデモンストレーションは秀逸でした。リアルタイムのカメラ映像が流され、会場の電力がすべてテスラの新しいバッテリーによって供給されていることが映される。会場が盛り上がる中イーロン・マスクは言います。

この夜のすべて、あなたが体験しているすべてのものが、太陽の光によって蓄えられたものなのです。

今回のプレゼンのクライマックスでした。このような印象的なシーンは聞き手にとって忘れられない瞬間となります。プレゼンを楽しんでもらいたいという意図が感じられた演出でした。

プレゼンの時間を短くするというのも聞き手のための工夫の1つ。今回のプレゼンの時間はわずか17分57秒でした。TEDの主催者は18分が理想的なプレゼンの時間だと考えているそうです。このくらいが、聞き手の集中力が維持され、有意義な会話やプレゼンができる長さとのこと。イーロン・マスクのプレゼンはまさに理想的な時間だったのです。聞き手のためを思えばダラダラと長いプレゼンはやめるべきですね。人類の化石燃料からの脱却と再生可能エネルギーへの移行という壮大なビジョンを18分で語ることができたのです。他のどのようなプレゼンも18分に収めることができるはずです。

最後に、イーロン・マスクの率直な態度についてお話します。プレゼン中イーロン・マスクは普通の人間同士の何気ない会話といった態度を終始崩すことはありませんでした。彼はもともとそういう人物なのですが、プレゼンにおいてこのような態度は非常に素晴らしい。型にとらわれず、会場の空気に敏感に反応して、レスポンシブでした。父権的な態度は皆無。わかりやすい言葉で語り続け、芝居がかったジェスチャーも大袈裟なレトリックもなし。すべては聞き手のためという姿勢ですね。巷でよく見る自分に酔ったようなプレゼン。そういう独り善がりのプレゼン、もうやめましょう。プレゼンは聞き手のためにあるのです。ぎこちない喋りでも、きちんとした論理展開、必要な情報、そして聞き手のための率直さがあれば素晴らしいプレゼンになると思います。

いかがでしょうか。イーロン・マスクのプレゼンから、プレゼンに必要とされる3つの極意を抽出してご紹介しました。

参考

www.forbes.com

www.usatoday.com

e27.co

 

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