イーロン・マスクは略語が大っ嫌い
- 2015年06月19日
- イーロン・マスクについて, スペースX
イーロン・マスクは略語を憎んでいます。憎み過ぎて、彼はスペースXの全社員向けに「君たちがこれ以上略語を作り続けるなら、抜本的な対策をとるつもりだ」というメールまで送ったとのこと。一見、過剰な反応に見えますが、この背景にはイーロン・マスクが優秀な管理者たる所以が隠されていました。
イーロン・マスクが嫌いな略語
イーロン・マスクが嫌っている略語とは、NASA(National Aeronautics and Space Administration)のように、複数の単語の頭文字をとって1つの言葉に略したものです。
どこの世界にも略語は存在しますが、とくにIT系・技術系の職場では略語が氾濫している印象がありますね。文字数が多い単語がたくさんあるので、略語にしたほうが手っ取り早いと思ってしまうのはわかります。
ロケット開発をおこなっているスペースXでは大量の専門用語が日常的に使われます。スペースXの社員たちも略語を作って楽に意思疎通を図りたいのでしょう。しかし、イーロン・マスクは略語を許しません。
略語の氾濫は業務効率を下げる
イーロン・マスクは略語がスペースX社の業務効率を下げていると考えています。彼によると「略語は、コミュニケーションの速度を上げる代わりに、エンジニア間で混乱を引き起こしている」とのこと。イーロン・マスクはその理由を次のように述べています。
個人個人にとっては、略語の数は多くなく、そこまで悪いことが起きているようには見えないだろう。しかし、1000人の従業員が略語を作っているなら、いずれ新人向けに膨大な用語集を準備しなければいけなくなる。
すべての略語を覚えるなど実際には不可能だ。そして、誰も会議でバカにされたくない。つまり、無知のまま座っているだけになってしまう。これは新入社員にとって非常にきついことだ。
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たしかに、次から次へと新しい略語が登場してくるとなるとコミュニケーションに障害をもたらしそうですね。効率を上げるためにやっていることでも、広い視野で捉えると逆効果となってしまう。そして、広い視野で物事を判断するのが管理者です。こういう見過ごしがちな事実に気づいて、トップダウンですぐに対応してくるあたり、イーロン・マスクが優秀な管理者である証拠でしょう。
コミュニケーションを守る
イーロン・マスクは社員間のコミュニケーションを非常に重視しています。彼の下では、ホワイトカラーの仕事をしている社員もブルーカラーの仕事をしている社員も同じ空間で働いています。お互いがその場でしっかりとフィードバックを受けとれるため、より良い設計につながるそうです。
イーロン・マスクはコミュニケーションに重きをおいて職場環境をデザインしています。そんな彼にとって、コミュニケーションの障害となる不必要な略語の存在は許せないものなのでしょう。管理者として何を守るべきで何を排除すべきかの判断を下したというわけです。
略語に怒るイーロン・マスク
最後に、イーロン・マスクの略語にたいする怒りの言葉をご紹介して終わりたいと思います。どれも激しい言葉ですが、上記の背景を考えれば納得できるものではないでしょうか。
これらはすぐにストップしなければならない。でなければ、私は抜本的な対策を打つ。ここ数年、十分な警告は発し続けてきた。
私が承認した略語以外は、スペースXの用語集に加えるべきではない。合理的な理由で正当化できない既存の略語があるなら、私が過去に要求したように、それらは削除されるべきなのだ。
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