イーロン・マスクのすすめ

宇宙人はいるのか 〜フェルミのパラドックス〜

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フェルミパラドックス

昨日だったと思いますが、イーロン・マスクがこんなことをツイートしてました。

フェルミパラドックスを持ち出すのにちょうどよい機会だろう。「宇宙人はどこにいるのか?サインがないのは本当に奇妙だ。」(=フェルミパラドックス

てことなので、今回はフェルミパラドックスについてやりましょう。本当はAppleイーロン・マスクについて書こうと思ってたんですが、せっかくイーロン・マスクがおもしろい話題を提供してくれたのでこっちから先に。

フェルミパラドックスとはイーロン・マスクがツイートで説明しているように、なぜ僕らが宇宙人の痕跡を発見できないのかってパラドックスです。パラドックスというからには、「宇宙人の痕跡が発見できない」という結論に至るのがおかしいとい前提があるのです。パラドックスとはそういうもんですね。前提は納得できるのに、その前提が適用されてるはずの結論がおかしいという謎がパラドックスです。フェルミパラドックスについてとても良い記事があったのでこちらをベースに説明していきますね。(じつはAIのときにも参考にさせてもらったブログです)

The Fermi Paradox – Wait But Why




宇宙人はいるはず?

ここからフェルミパラドックスの前提にあたるところを説明します。まず僕らが住んでいる地球は太陽系に所属していますね。太陽系は銀河系に所属し、この銀河系には2000億個の星があります。そして宇宙全体には銀河が1000億個以上も存在すると言われているので、宇宙にある星の数はとてつもなく膨大です。

膨大な数の星のなかで、太陽と同じような恒星がどのくらいあるのかですが、だいたい5%〜20%というのが専門家の意見です。もっとも少ない5%だったとしても太陽に似た恒星は500京ほど存在することになります。

次にこれら太陽に似た恒星のうち、どのくらいの恒星が地球に似た環境の惑星をもっているか。専門家の意見ではもっとも高いのが50%です。しかし22%くらいというのが中間的な意見のようなので、22%で計算しますね。すると約100京。宇宙には地球に似た惑星が100京(1兆の100万倍)あると考えられます。つまり生命が暮らせる星がものすごい数あるわけです。

では、地球型の惑星のうち知的生命体が誕生し、文明を築いている割合はどのくらいか。宇宙は138億年前に誕生しました。最近の研究では地球型の惑星は112億年前で現れはじめたことがわかったそうです。宇宙誕生から26億年で、生命が誕生する準備が整ったということです。そこから112億年経ったのが現在。ようはものすごい時間が経過してるわけです。そして100京の惑星のうち、1%くらいは文明をもつ惑星があるだろうと計算すると、その数10兆。宇宙には10兆の文明が存在すると考えるのが妥当と言えるようです。

宇宙全体では10兆の文明ですが、僕らの銀河系だけでみれば地球型惑星が100億個あるという計算になるので、そのうち文明をもっている惑星は約10万個。僕らの銀河系だけで10万もの数の文明が存在する計算です。

様々な研究結果や計算から、宇宙には膨大な数の知的生命体が存在していると考えるのが妥当。ところがそのサインが見つからない。だからパラドックスなのです。SETI(Search for Extraterrial Intelligence)という組織があるのですが、そこが他の知的生命体からのシグナルを探しています。しかし今のところ通信電波などシグナルは発見できていません。不思議ですよね。




異星人の文明

ここからもう少しフェルミパラドックスについて考えていきます。地球は46億で知的生命体を生み、文明を築きました。僕ら人間と現代文明です。僕ら現代人と同じグループに入る新人類が誕生したのが20万年前。46億年の歴史からいうと本当に最近の話です。地球の歴史を1年365日のカレンダーにしてみるとわかりやすいですね。有名なやつですが。

・1月1日 地球誕生

・2月25日 最初の原子生命誕生

・9月27日 多細胞生物誕生

・11月20日 魚類誕生

・12月13日 恐竜時代スタート

・12月31日23時37分 新人類誕生

・12月31日23時52分 農耕牧畜スタート

・12月31日23時59分 産業革命

つまり、地球の歴史からみると知的生命体が誕生してから、現代文明が築かれるまでは本当にあっという間だったわけです。このブログでいぜんAIについてやりましたが、文明の発展の速度というのは指数関数的です。地球の歴史1年カレンダーでみると、年が変わる最後の30分ほど、とくラスト1分ほどで地球の文明レベルは圧倒的な向上をみせています。

さて、上記は何を示唆しているでしょうか。さきほど触れたように、地球型惑星が誕生してからすでに112億年経っています。そして宇宙には10兆個もの知的生命体を抱える星があると考えられます。この10兆個の惑星の中で、地球より早く知的生命体が誕生した星がたくさんあると考えるのも妥当ですね。すると、どのくらい早く知的生命体が誕生したかによりますが、まぁさきほど見たように宇宙の時間軸で考えるとわずかな時間差でも文明の発展レベルには半端じゃない開きがでているはずです。

では地球よりもわずかにでも知的生命体が早く誕生した星があったとして、そこがAIの記事でも話した自己複製のナノボットを開発できるレベルに達していたとしたらどうなるでしょうか。たとえば、その知的生命体にとって必要な物質があり、それをナノボットで生成しようとしますね。そのナノボットを僕らの銀河系に送ってきたらどうなるでしょう。ナノボットは当然ロボットなので気長に星間トラベルしてきます。そして僕らの銀河系に行き着く。そして自己複製開始。1つが2つに、2つが4つに、4つが8つに複製され、銀河系のあらゆる物質をその知的生命体が必要としている物質に変えていきます。これが続くと約375万年で僕らの銀河系は完全に植民地化されてしまいます。375年、宇宙時間からすれば一瞬です。

このくらいハイレベルな文明をもつ惑星は、僕らの銀河系の中だけで少なくとも1000個はあると考えるのがこれまた妥当だそうです。つまり地球なんか簡単に植民地化されて、僕らはただのエネルギーの供給源となっているはずなのです。ところが僕らは無事に誕生することができて、今のところ生存し続けています。そして他の生命体の情報は一切入ってきません。どういうことでしょう。この謎がフェルミパラドックスなのです。




フェルミパラドックスの解明を試みる諸説

難問であるフェルミパラドックスですが、いろんな角度からチャレンジされていますので、ご紹介していきたいと思います。

The Great Filter理論

これは、僕らに何らかのサインを残すほどの高度な文明が誕生するには必ずグレートフィルターという壁を乗り越えないといけないが、生命がグレートフィルターを乗り越えることができる可能性はきわめて低いかそもそも不可能であるという理論です。

ではグレートフィルターはいつやってくるのかですが、僕らはすでにグレートフィルターを乗り越えたという説とこれからグレートフィルターにぶち当たるって説があります。

グレートフィルターはすでに乗り越えた

これはそもそも僕らレベルの知能をもつのが奇跡的なことだという説。単細胞生物から僕らに至るまでのどこかにグレートフィルターがあって(もしくは生命の誕生自体が難しい)、そこを普通は乗り越えれない。だから宇宙のほとんどの生物は知的生命体ではないという意見です。

さらに宇宙にはガンマ線バーストというのがあります。ガンマ線バーストは地球の過去の大量絶滅の原因ともみなされており、ガンマ線バーストが近い距離で起こるとオゾン層が破壊されて生命の生存に困難な環境をもたらします。発生機構はまだ解明されていませんが、ガンマ線バーストは宇宙のどこかで一日に数回起きています。つまりどういうことかというと、通常僕らの文明に到達する前にガンマ線バーストによって絶滅するため、高度な文明は築けないって話です。僕たちは非常にラッキーだということですね。

グレートフィルターはこれからやってくる

僕らの文明はまだ他の惑星にサインを残すほど発展してません。これからそういう高度な文明に至るまでに上記のガンマ線バーストやその他の災害(隕石の衝突や核戦争)がやってくるという説。だから結局他の惑星とコンタクトは取れませんってことですね。

The Great Filter理論以外

The Great Filter理論以外でフェルミパラドックスを解明しうる説をいくつかご紹介しますね。

地球は田舎すぎる

→田舎すぎて誰もやってこないし、シグナルすら送らない。

物質的な植民地化は時代遅れ

→高度な地球外知的生命体はすでに肉体というものを捨て精神だけで生きている。だから植民地化なんてする必要はないし、サインも残らない。

高度な知的生命体が宇宙を支配していて、他の知的生命体を監視している

→宇宙の支配者のような知的生命体がいて、他の知的生命体が脅威を与えるようなレベルに発展してきたら抹殺する。僕らはまだ生きることを許されている。

サインはたくさん残っているけど、僕らには理解できない

→僕らは人間の時間軸で物事を理解しようとするが、じつは宇宙人はもっとはるかに長大な時間軸で生きている。たとえば「こんにちは」というのに12年かかるとか。僕らがそういうサインを見つけるのは難しい。

この世界はバーチャルリアリティ

→映画マトリックスみたいなもんで、僕らはコンピューター上の仮想空間を生きているにすぎない。だから他の知的生命体なんて不要だからプログラムされてない。

どれもなかなかおもしろいですよね。詳細やもっと多くの説がしりたい方は元の記事をあたってみてください。今回はここらへんで筆を置きますね。

そういえばイーロン・マスクはこの後こんなツイートをしてました。

私が故郷の惑星である火星に帰るために宇宙船をつくっているという噂は、完全にでまかせである。

冗談半分ですが、「火星人」だと思われるのはある意味光栄なことなんです。昔、ジョン・フォン・ノイマンという大天才科学者がいましたが、彼は幼少の頃から驚異的な計算能力と記憶能力をもっていました。その記憶力は映像記憶と呼ばれ、見たものをそのままその細部に至るまで完璧に記憶していられる能力です。サヴァン症候群の人たちにもたまに見られる能力ですね。ノイマンはそれだけではなく思考様式も独特で、「悪魔の頭脳」とか「火星人」と呼ばれていました。

ちょっとWikipediaから引用しておきますが、こんな逸話も。

興味のある人はWikipediaを読んでみてください。おもしろいですよ。

ジョン・フォン・ノイマン – Wikipedia

とまぁ、こんな感じで、常人の理解を超えた人間にたいして驚嘆を込めて「火星人」と呼ぶのです。イーロン・マスクなんかは火星にむけてロケット開発をおこなっているわけだからなおさらですね。

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