イーロン・マスクのすすめ

語学ビジネス市場を調べてみた




英語学習のサイトを立ち上げたので、語学ビジネス市場を調べてみようと思いました。

いろいろ検索してみましたが、これが意外と見つかりません。経済産業省とか総務省の統計データを漁ってみたんですが、欲しい資料がない。探し方が悪いんですかね。それっぽい資料をご存知の方がいれば、コメント欄で教えていただけると助かります。

そんな中、見つけたのがこちら。

矢野経済研究所の語学ビジネス市場に関する調査

*2016年度版の調査が実施されたのは2017年4月~6月。最新の調査結果ですね

資料を購入するには12万円かかります。貴重なデータだとは思いますが、私個人では手が出ません。しかし、親切な矢野経済研究所はプレスリリースでしっかりと重要な情報をまとめてくださってました。

ということで、今回は矢野経済研究所が出しているプレスリリースから、いくつかおもしろいデータをご紹介します。

*プレスリリースは上記リンク先にPDFで置いてあるので興味のある方はそちらで全文を読んでみてください

語学ビジネス市場とは

まず、語学ビジネス市場の定義ですが、下記14分野とされています。

  • 成人向け外国語教室市場
  • 幼児・子供向け外国語教室市場
  • プリスクール市場
  • 幼稚園・保育園向け英語講師派遣市場
  • 書籍教材市場
  • 語学独習用機器・ソフト、
  • 電子辞書市場
  • 幼児向け英会話教材市場
  • 通信教育市場
  • e-learning 市場
  • ソフトウェア市場
  • 語学試験市場
  • 留学斡旋市場
  • 翻訳・通訳ビジネス市場

これらを大雑把にまとめると以下の3つ。

  • 語学スクール系(1~4)
  • 学習教材系(5~11)
  • 周辺ビジネス系(12~14)

定義と分類を確認したところで、さっそく調査結果にいきましょう。




語学ビジネス市場規模

語学ビジネス総市場が8682億円で、前年度比102.7%の堅調な伸びをみせています。

理由はグローバル化の進展で翻訳・通訳ビジネス市場が好調だったり、文科省の次期学習指導要領の公示で英語教育時期の早期化が明確になったり、大学入試改革もおこなわれたりと大人向け子供向けでニーズが高まってるからです。

語学ビジネス総市場が8682億円がどのくらいの市場規模なのか、市場規模マップで見てみます。

市場規模マップ

日本には約225市場あり、規模別に分類すると以下。

  • 1000億円未満:92市場
  • 1000億円から1兆円未満:105市場
  • 1兆円以上:58市場

語学ビジネス市場は「1000億円から1兆円未満:105市場」に入るので、大きくはないけど、そんなに小規模でもない感じ。実際マップで見ると、中の下くらいに位置しています。(自動車・不動産・生命保険・外食・建設・医療市場がすごい)

次は語学ビジネスの内訳を覗いてみましょう。

語学スクール系

語学スクール系は成人向けと子供向けで分けられます。およそ3分の2が成人向けで2100億円。3分の1が子供向けで約1400億円でした。

大人が子どもの2倍ほど語学にお金をつかっているんですね。

学習教材系

No1に輝いたのは電子辞書市場の513億円。PCやモバイルのアプリは除きます。けっこう意外でした。スマホで調べるからいいや、とはならないものなんだと。

最下位はe-learning市場の90億円。e-learning市場はオンライン英会話や語学アプリの市場です。私は英語学習でアプリとSkype英会話を多用していたので、これもかなり意外。

書籍教材市場は383億円で2位、幼児向け英会話教材市場が307億円で3位、通信教育市場が200億円で4位。うーん、やはり電子辞書市場とe-learning市場の順位が直感とずれてます。

周辺ビジネス

1位は圧倒的に通訳・翻訳ビジネス市場の2795億円。まぁ、他の大きな規模の市場からお金が流れてきますからね。

あとは、語学試験市場の241億円と留学斡旋市場の220億円でそこまで大差なし。留学斡旋市場って「斡旋」業務でこの市場規模なんですね。(今度、留学斡旋について調べてみよう)




大人の語学学習ビジネス市場

大人が語学を学習するときに何にお金をつかっているか、です。

  • 成人向け外国語教室市場: 2100億円
  • 社会人向け通信教育市場: 200億円

↓は子供向けと切り分けられないので不正確ですがとりあえず。

  • 書籍教材市場: 383億円
  • 電子辞書市場: 523億円
  • 語学独習用危機・ソフト市場: 198億円
  • e-learning市場: 90億円
  • ソフトウェア市場: 25億円

成人向け外国語教室市場の一人勝ち。切り分けられないので子供向けが含まれている市場すべてを足しても全然届きません。というか、子供向けを含めた語学ビジネス市場の合計が5242億円(周辺ビジネス系を除く)なので、成人向け外国語教室市場2100億円が占める割合がそもそも高いのです。(今度、成人向け外国語教室について調べてみよう)

まぁ、1人でコツコツやるより語学やってる感がありますもんね。実際、英語の仕事以外でネイティブと話す機会なんてあまりないのが普通です。ネイティブとの英会話は希少価値が高いんです。極端な話、あまり成果がでなくても非日常的な貴重な機会なので満足感はあるのかもしれません。もちろん成果がでる人もたくさんいるでしょうが。

まとめ

矢野経済研究所のプレスリリースをもとに、語学ビジネス市場を眺めてみました。一口に語学ビジネスと言ってもけっこう細分化されているものなんですね。その中でも、成人向け外国語教室市場の占める割合と、電子辞書市場やe-learning市場の意外な順位が興味深かったです。

あとは、実体験として、e-learningはものすごく有用なので、これからどんどん伸びていくと思います。外国語教室の価値がネイティブとの会話の機会であれば、技術的にはアプリやwebのマッチングサービスで代替可能ですし、その方が優れた教師が正当に評価される仕組みを導入しやすいでしょう。(そのうちValueやTimebank系のサービスにもカリスマ英会話教師が登場してくるはず)

となると、周辺ビジネス系を除いた5242億円にたいして、現在e-learningが90億円。既存のニーズを満たすだけでも、e-learning業者はこれから約5150億円くらい狙っていけますね。ソーシャルゲームの市場規模が5622億円なので、それを総取りできるくらいのポテンシャルです。単純すぎる計算で申し訳ないですが。

e-learningの応援はここまでにして、データを眺めていると、これからいろいろ調べてみたくなりました。留学斡旋市場成人向け外国語教室市場はとくに気になります。

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