イーロン・マスクのすすめ

2016年、スペースXの最初の打ち上げが成功。しかし、ロケットの着陸には失敗。

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スペースXが2016年の最初の打ち上げに成功しました。ファルコン9ロケット21号機の打ち上げで、ペイロードは政府の人工衛星。海水位をモニターするJason-3衛星と呼ばれる政府の人工衛星です。

メインのミッションを成功させたスペースXですが、残念ながらロケットの着陸には失敗してしまいました。昨年12月のファルコン9ロケット20号機で、スペースXは逆噴射によるロケットの垂直着陸という歴史的偉業を成し遂げたばかり。連続での快挙とはいきませんでした。




陸上への着陸に成功した20号機とは異なり、今回の21号機では海上に浮かべたドローンシップ(船)への着陸が試みられました。じつは陸上への着陸と船上への着陸では難易度が違います。イーロン・マスクは「船上への着陸のほうが間違いなく難しい」と言います。高速で移動しているただでさえ不安定なロケットを、「波に揺られ」て「回転する」不安定な場所へ着陸させるのです。安定している陸上への着陸よりも、船上への着陸のほうが難しいのは当たり前ですね。

スペースXは難易度の高い船上への着陸に挑戦しつづけています。1回目の挑戦は1年前。着陸の際、作動液が切れてしまってロケットは粉々になりました。その1ヶ月後のチャレンジは海の状況が芳しくなく見送りに。そして、昨年4月の3回目の挑戦では着陸の衝撃に耐えきれずロケットが横滑りして倒れてしまいました。

4回目の挑戦となった今回。「タッチダウン速度は良好」だったそうですが、着陸用の脚が正しく動作せずにロケットが倒れてしまいました。イーロン・マスクによると、陸上への着陸であっても「おそらく」同じ結果になっただろうとのこと。陸上への着陸を成功させたあとだけに悔しい結果ですね。

ところで、なぜスペースXは難易度の高い船上へのロケット着陸に挑戦しつづけるのでしょうか。世間では「安全性のため」や「柔軟な対応ができるように」、または「燃料コストをおさえるため」と言われているようですが、イーロン・マスクによると理由は別にあるようです。




訳)船上への着陸は「柔軟な対応のため」や「燃料コストをおさえるため」ではない。単純に物理的に打ち上げ場(陸上)へ戻ってくることができないからだ。

(ドローンシップ)をつかえば帰還するロケットの横移動の速度をゼロに減速させる必要がなくなるとイーロン・マスクは言います。つまり、より速い速度でロケットを打ち上げることができるとのこと。 

訳)前にも言ったように、速度が求められるミッションのために船上への着陸が必要ということ。軌道(への到達)にたいして、高度や距離にそこまでの意味はない。すべては速度なのだ。

難易度の高い船上への着陸を目指すのは、それが必要になる(ロケットの速度が求められる)ミッションがあるからなんですね。

さて、イーロン・マスクは今回の失敗にたいして「少なくとも今回は大きな塊が残った」として「次の船上着陸へは楽観的だ」と言っています。

前回の20号機の着陸成功で余裕が生まれているような気がしますね。先日、スペースXは20号機のエンジンの再点火にも成功しました。どうやら再使用にも耐えられそうだということがわかったのです(ただ、イーロン・マスクは20号機のエンジンを使って打ち上げをおこなうつもりはなく記念としてとっておくと言っています)。今回は着陸に失敗してしまいましたが、スペースXは確実に再使用ロケットの実現に近づいています。




参考

www.chicagotribune.com

Elon Musk’s SpaceX successfully launches rocket but falls short on landing at sea – The Washington Post

techcrunch.com

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