イーロン・マスクがギガファクトリーに自信満々な理由
ギガファクトリーとはテスラがネバダ州に建設中のその名の通り超巨大な工場です。テスラが電気自動車に用いているリチウムイオン電池(バッテリー)を大量生産する工場で、フル稼働で年間電気自動車50万台分のリチウムイオン電池を生産できる能力を備えるとのこと。これは2013年に全世界で生産されたバッテリーの総量を上回るほどの量です。
テスラがギガファクトリーに投資した額は約6000億円。そして、約6500人を雇用する予定です。フル稼働は2020年までにはおこなわれるそうです。ギガファクトリーでリチウムイオン電池を大量生産し、規模の利益を効かせ、電気自動車の価格を下げて電気自動車を普及させる。長期的な戦略でテスラは膨大な金額をギガファクトリーに投資しています。
ところで、イーロン・マスクがテスラを始めたきっかけは友人に連れられてAC Propulsionという会社を訪れたことです。そこで高速で走行距離の長い電気自動車のプロトタイプを見たイーロン・マスク。バッテリー技術の発展のスピードが彼の予想を超えていたことに驚き、テスラの創業を決めたのです。
つまり、テスラが誕生したのは近年のバッテリー技術の発展速度がイーロン・マスクの予想を超えて飛躍的に向上していたおかげとも言えます。
さて、ここでようやく本題ですが、イーロン・マスクはギガファクトリーほどの大規模なプロジェクトをすすめることに恐怖を感じていないのでしょうか。
リチウムイオン電池を生産するのがギガファクトリーです。バッテリー技術の発展によってリチウムイオン電池が過去のものになる可能性だってありそうです。話題になったアルミニウム電池や燃料電池など実際に様々な技術が発展しています。
イーロン・マスクの予想を超えて発展を遂げた分野であるバッテリー技術。それだけ変化の激しい分野において、大規模な投資が本当に成功するのか不安になるのが当然ではないでしょうか。
Baron Investment Conferenceでイーロン・マスクからその答えが明かされました。カンファレンスで語られた内容を引用してご紹介します。
現時点で、私たちは世界中のバッテリー技術にたいして極めて深い理解があります
私たちは世界中でおこなわれている約60のバッテリーを改良する努力を把握しています
私たちはそれらすべてに5段階評価をつけました。5は私たちがビジネスにおいて協力関係を築くべきもの、1は完全なる嘘っぱちです
ということで、テスラは世界中のバッテリー技術の開発研究を把握していて、独自に5段階のレーティングをつけているわけですね。ちなみに、現在のところ4や5の評価の技術は存在しないとのことです。
つまり、様々なバッテリー技術が話題になりますが、どれも現段階では大したことはないとテスラは評価していると言い換えてもよさそうです。そして、テスラが高評価を与えるほどの技術があれば協力関係を築く柔軟性もある。
イーロン・マスクが自信をもってギガファクトリーの建設をすすめるのは、テスラが常に世界中のバッテリー技術を(ほぼ)完全に把握していて、この分野で最先端の状態をキープできるからということでした。