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スペースXのロケット打ち上げ失敗のまとめ

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先日、スペースXはファルコン9ロケットの打ち上げに失敗しました。ファルコン9にはドラゴン宇宙船が搭載されていて、国際宇宙ステーションISS)へ物資を供給するミッションでした。

スペースXにとって、NASAと契約した物資供給ミッションにおけるはじめての失敗です。そして、ファルコン9ロケットの打ち上げにおいても、19回目にしてはじめての失敗となりました。非常に大きなアクシデントですので、ここで一度、今回の打ち上げ失敗を整理してみたいと思います。

ミッション概要

ミッションはスペースXがNASAと契約したISSへの無人宇宙船による供給ミッションです。スペースXは同じミッションをすでに7回成功させていました。

ISSは地球の軌道上を周回する宇宙ステーションです。1998年に軌道上で建設がはじまり、アメリカ、ロシア、カナダ、日本、欧州が共同で運用しています。

ドラゴンに搭載されていた物資はISSに滞在するクルーのための食料や水、研究機材などです。重量は2トン以上にもおよぶ大量の物資でした。物資のなかにはインターナショナルドッキングアダプターという色々な種類の宇宙船でのISSへのドッキングが容易になる機材や水のろ過ユニットも含まれていました。




ISSに滞在するクルー

ISSに滞在するクルーは3人。2人のロシア人宇宙飛行士と1人のアメリカ人宇宙飛行士です。アメリカ人宇宙飛行士のスコット・ケリーは双子の宇宙飛行士です。双子の兄弟のマーク・ケリーも(すでに引退していますが)NASAの宇宙飛行士でした。

3人のクルーがおこなっているのは宇宙環境が人体に与える影響を調べるという医学的実験です。とくにスコット・ケリーは双子なので、双子の間で発生する変化の違いを調べることで貴重なデータが得られます。

NASAによると、この実験によって無重力状態で変化する脳内の血圧がどのように目の形と視界に影響を与えるか理解を深めることができるそうです。

クルーに残された時間

NASAのゲルステンマイアーは言います。

宇宙船を失うことは予想していました。しかし、1年というタイムフレームで3機も失うことになるとは予想していませんでした。

SpaceX’s failed mission: What we know – Jun. 28, 2015

現在、ISSに滞在するクルーのもとには10月の終わりまでの食料と水が残されています。今回の補給ミッションによって、1ヶ月分の食料と水が供給されるはずでした。

NASAによれば、食料と水が残り45日を切った時点で、クルーを地球へ帰還させる計画にとりかかるそうです。




予定されている今後の補給ミッション

ISSへの補給ミッションは年に数回実行されています。今年に入ってすでに3機の宇宙船がISSへ到達しています。しかし、スペースXのミッション失敗は、アンタレスロケット、プログレス補給船に続く、3回目の失敗です。過去9ヶ月間で頻発したこれらの失敗は、宇宙ステーションの歴史上前例のない失敗率とのこと。可及的速やかに補給ミッションを成功させなければいけません。

この夏にはいくつかの補給ミッションが予定されています。ロシアのプログレスミッションが7月3日と7月22日で、日本のオービタルミッションが8月16日の予定です。次のアメリカのミッションはスペースXによって9月におこなわれます。

失敗の原因と調査

スペースXとNASAは原因の究明に全力をあげています。現在のところ考えられている原因は、ファルコン9ロケット2段目の液体酸素タンクの圧力異常です。

二段目の液体酸素タンクで圧力が高くなりすぎた。直感に反する原因だが、データはそう示唆している。

スペースXは様々なデータを解析しています。なかにはビデオ映像の解析も含まれますが、残念ながら決定的な原因と思われるロケット2段目のビデオ映像が残っていないそうです。

NASAはロケットのデブリ(残骸)からデータを収集するため、近所の住民にデブリを見つけたら連絡するよう呼びかけています。

有人宇宙飛行に使用される宇宙船

スペースXには2017年に有人宇宙飛行をおこなう計画があります。じつは、今回打ち上げに失敗したドラゴン宇宙船は、有人ミッションでも使用されるクルードラゴン宇宙船とほとんど同じものです。ただ、クルードラゴンの場合はアボートシステムが備え付けられています。

アボートシステムとは緊急時脱出システムのことです。今回のようにロケットが爆発した場合などに宇宙船がロケットから切り離される仕組みです。宇宙船を切り離すことによって、宇宙船に乗り込んでいる宇宙飛行士の人命を救うわけです。

先月、スペースXはローンチパッド(打ち上げ場)でのアボートテストを実施しました。結果は成功。ドラゴン宇宙船の側面に搭載された8機のドラコエンジンによって、異常事態が発生した(という仮定の)ローンチパッドから最高速度345mphで大西洋へ向かって飛び出して行きました。着陸はパラシュートで安全におこなわれます。

来年には実際のファルコン9ロケットを使った空中でのアボートテストが実施される予定です。まさに今回のように打ち上げのあと空中でロケットが爆発した場合の脱出システムのテストです。

ちなみに、今回、ロケットが飛び散ったあとに地上管制官がドラゴン宇宙船から信号を受け取っていたそうです。つまり、何らかの理由でドラゴンが爆発から生き延びたということです。このあたりの詳細も調査がすすめばわかってくるでしょう。




まとめ

有人宇宙飛行を計画するスペースXにとって大きな痛手となった今回のアクシデント。しかし、様々なリスクを考慮して可能なかぎり安全な設計をしていくのがロケット開発です。あらゆる失敗はリスクマネジメントにつながります。それに、今までも数々の困難に打ち勝ってきたスペースXです。今回の失敗から多くのことを学び、より安全なシステムを構築していくことでしょう。

ところで、2010年からISSでクルー支援LANが使用できるようになりました。つまり、ISSに滞在するクルーはインターネットが使えるということです。そして、今回のアクシデントのあと、ISSに滞在するスコット・ケリー宇宙飛行士がこのようなツイートをしていました。

ドラゴンの打ち上げを宇宙ステーションから見ていたよ。

なんと彼は今回の爆発をISSから見ていたのです。飛び散ったロケット(の煙)がしっかり確認できますね。そして、Twitterを使ってリアルタイムでシェアをする。すごい時代です。

参考

money.cnn.com

www.discovery.com

www.cbc.ca

www.dnaindia.com

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