リチャード・ブランソンという男を知ってますか?
- 2015年03月24日
- リチャード・ブランソン
今回はリチャード・ブランソンについてやりたいと思います。あとで詳しく書きますが、ざっと彼がどんな人物かだけ説明しますね。リチャード・ブランソンは世界的に伝説の経営者でして、ヴァージン・レコード、V2レコードなどの音楽業界での成功、ヴァージン・アトランティック航空で航空業界での成功、そして多種多様な事業をおこなうヴァージン・グループを設立し、ついにヴァージン・ギャラクティックを立ち上げ宇宙旅行事業にも参入している超ド級のシリアルアントレプレナーです。
今回リチャード・ブランソンをやる理由の1つに、彼がこないだマイアミのレースで電気自動車を使うと発表して世間を騒がせたからというのがあります。イーロン・マスクのニュースを漁っていたら目にとまったんですが、電気自動車でのF1ってどんな感じなのでしょうね。
Virgin going after Elon Musk with new electric cars – GeekSnack
リチャード・ブランソンはすでに電気乗車のF1のチームを持っていますが、今回の動きでその流れが加速しそうなんですね。しかも彼はヴァージン・グループがすでにチームを結成し電気自動車開発に取り組んでいることも明らかにしました。
電気自動車開発にはApple、Googleなど異業種から参入してくるトレンドがありますが、ヴァージン・グループもそれに加わったわけです。イーロン・マスクとリチャード・ブランソンはどちらも卓越した経営者としてライバル関係(とくに宇宙事業)にありましたが、これから彼らの間には更なる競争が待ってそうです。
とまぁ、そんなわけでリチャード・ブランソンを今回の記事に選んだわけです。ではさっそく見ていきましょう。
リチャード・ブランソンの経歴
リチャード・ブランソンは1950年にロンドンに生まれました。父親は弁護士でしたが、家は裕福ではなく生活に精一杯。しかも彼はディスレクシア(読み書き障害)に悩まされ、学校での成績も悪くいじめの対象になっていたそうです。リチャード・ブランソンが通っていた学校の校長先生は彼に「君は将来刑務所に行くか大金持ちになるかのどちらかだろう」と語ったそうです。
ディスレクシアは学習障害ですが、知的能力や理解力には異常がないのに、文字の読み書き学習についてだけ障害が見られます。ディスレクシアの発現率はけっこう高く、英語圏では10~20%だと言われているそうです。読みやスペルの学習に困難を覚える人や、字を書いたり、字の左右の識別に困難を覚える人など、一口にディスレクシアと言っても様々です。ウィキペディアから引用しておきますが、僕らの脳の構造を知るうえでけっこう重要なトピックかもしれませんね。
最新の研究によって、ディスレクシアの人は、脳での情報処理の仕方が一般の人と異なることが明らかになってきている。一般の人は脳内の情報を統合する領域で文字を自動処理しているが、ディスレクシアの人々はこの文字処理がスムーズに行えず、通常とは違う脳の働きをしているという。人類が文字を使い始めたのは5千年ほど前からといわれ、脳には文字の読み書きを行う中枢領域は存在せず、他の代替機能を使って文字の読み書きをしている。ディスレクシアの人々は通常の人々とは異なる脳の領域を使っており、そのためスムーズな文字の読み書きが行えないと考えられている
ちょっと脱線してしまいましたのでリチャード・ブランソンの経歴に戻りましょう。彼が手がけた最初のビジネスは18歳のときにおこなった雑誌の発行。60年代、学生たちは発言の場を求めていました。そんな中リチャード・ブランソンはStudentと名づけた雑誌を発行して彼らの需要に答えたのです。Studentはイギリスのマスコミから注目され、この活動を通して彼は様々なミュージシャンたちと出会います。この経験がヴァージン・レコード立ち上げに活きてくるわけですね。
リチャード・ブランソンが次にはじめたのはレコードの通販。そしてオックスフォード通りでレコードショップも開きます。その後、レコード通販やレコードショップで得た資金をもとについに自らレーベルを立ち上げます。これがヴァージン・レコードです。レコーディングスタジオを所有し、メジャーレーベルからは相手にされないような独特なセンスをもつミュージシャンたちを発掘していきます。
ヴァージン・レコードの名を一躍有名にしたのがマイク・オールドフィールドの発掘とセックス・ピストルズとの契約です。マイク・オールドフィールドのアルバム「チューブラーベルズ」の評価は高く、映画エクソシストでも使われています。セックス・ピストルズは有名ですよね。世界的なバンドです。イギリス当局から監視されるほど過激な人たちです。そしてヴァージン・レコードはあのローリングストーンズとも契約したことで知られています。
その後ヴァージン・レコードの経営とともにヴァージン・アトランティック航空を設立して航空業界にも殴りこみをかけたリチャード・ブランソン。イギリスの航空業界を独占していたブリティッシュ・エアウェイズとの競争に勝つために彼はヴァージン・レコードを売却する大決断を下し、資金を捻出。どんどん知名度を上げていきました。ヴァージン・アトランティック航空は当初中古のボーイング747-200型機1機のみで運航していましたが、10年も経たないうちに当時の最新機材を導入して世界中の空港に乗り入れていきます。
リチャード・ブランソンはヴァージン・レコードやヴァージン・アトランティック航空での成功を皮切りに次々に新しい事業にチャレンジしていきました。携帯電話事業、鉄道経営、ホテル事業、金融事業そしてヴァージン・ギャラクティックで宇宙事業にまで進出。自身が会長を務めるヴァージン・グループはなんと400以上の会社から成り立っています。そして2000年にエリザベス2世女王から「ナイト」の称号を授かり、サー・リチャード・チャールズ・ニコラス・ブランソンとなります。
また、彼は冒険家としても知られ、1987年に世界ではじめて熱気球で大西洋横断を成し遂げ、1991年には気球で太平洋横断を達成します。2010年には59歳にしてロンドン・マラソンを5時間2分で走り抜きました。チャレンジ精神の塊みたいな人ですね。
リチャード・ブランソンの特徴
ちょっとウィキペディアみたいになってきたので、違った角度からのアプローチを。リチャード・ブランソンについてうまくまとめられていたサイトがあったので、ここをベースに書いていきたいと思います。
Richard Branson Secrets to Success mind map
すでに述べてきたとおり、リチャード・ブランソンの成し遂げたこと、やっていることは普通の人からすると異常なレベルに達しています。このような圧倒的なチャレンジに囲まれる人生を送るなかで、リチャード・ブランソンはどういう思考・行動パターンを身につけ(もしくは生まれつきのものかもしれません)、このような常人とはかけ離れた環境に適応していったのでしょう。
コンフォートゾーンからの脱出
コンフォートゾーンとは自分が心地いいと思う状態のことです。たとえば新しい仕事をはじめたとして、最初は苦労の連続でしょう。失敗も多いですし、覚えることも多く、高いストレスがかかっている状態です。しかし仕事に慣れてくるにつれストレスも減少していきます。失敗のリスクが減り、覚えることの量も減っていくからです。この状態がコンフォートゾーン。そしてここから抜けだすのは至難の業です。誰でも楽なところに留まりたいですからね。せっかく覚えた仕事をやめて新しいことにチャレンジするのは躊躇われます。ただし、そうなると成長の余地が限られてしまいます。
リチャード・ブランソンは新しい産業への参入を続けてきました。つまりコンフォートゾーンを抜けだし続けたわけです。彼はコンフォートゾーンを抜けだすことをかなり意識的におこなっていました。自分の戦略が他のことにたいしても上手くいくかテストするためであり、改善の余地を見出すためであり、新しい機会を探すためであり、彼自身を成長させるためです。彼の目的は「この世界に違いを生み出す」ことだそうですが、その目的を達成するために成長スピードを緩めるわけにはいかなかったのでしょう。
リチャード・ブランソンの学習方法
リチャード・ブランソンはものすごい数の事業をおこなっているため、常に新しいことを学習しつづけないといけませんでした。コンフォートゾーンから抜けるとはすなわち新しい何かの学習がスタートするということです。そして彼は超人的なスピードで事業展開をしていってるので、新しい物事の学習方法においても特筆すべき特徴がみられます。列挙してみましょう。
・新しい出会いを求める
→リチャード・ブランソンは常にネットワークを広げて新しい出会いを模索しているそうです。はじめて会う人々から様々な情報を仕入れて、自分のアイデアや学習した内容を話すことで知識の正確さや質を高めていってるわけです。
・偉大な人々に囲まれる
→尊敬できる人物を周囲に集めることで、膨大な情報の正しい処理の仕方、考え方を学び続けているそうです。地位が高くなっても常に謙虚な姿勢で周りの人たちの意見を聞くようにしているとのこと。
・読書の時間をとる
→とにかく行動した結果から学ぶことを重要視しているリチャード・ブランソンですが、同時に読書からも様々な知識を吸収しているそうです。行動の結果から得られる情報、人から得られる情報、そして読書から得られる情報ではそれぞれ特性が違いますよね。どれかに偏ることなくバランスをとっていくことが重要なのでしょう。
・考える時間をとる
→インプットとアウトプットをかなりの速度でこなすだけではなく、ただ考える時間をつくることが情報の整理、新しい発想につながるそうです。とくにリチャード・ブランソンの場合、様々な肉体的チャレンジもおこなっていますので、体を動かしながら思考を深めているのかもしれません。
リチャード・ブランソンの能力
さて、上記の姿勢や学習方法からリチャード・ブランソンはどのようなスキルを発達させていったのでしょうか。ここはそのまま引用したいと思います。
・柔軟な思考
・セールススキル
・広報スキル
・交渉スキル
・説得力
・リーダーシップ
・話を聞く力
・コミュニケーション力
リチャード・ブランソンが他者と関わるとき、彼は物語や豊かな言葉、感覚を刺激するような色彩豊かなメタファーを用いる。聞き手は彼の個人的世界観や彼によって解釈されたリアリティーのなかへ引き込まれるのだ。
Flexible thought
Sales skills
Negotiation skills
Persuasion skills
Leadership skills
Good listening skills
Good communication skills
When Richard Branson communicates with other people he often uses stories, descriptive words and metaphors that paint pictures and excite the senses — bringing his listeners into his personal world and interpretation of reality.
より多くの物事に取り組むときは必ず優秀な協力者が必要になります。一人では絶対にこなしきれない作業量になるからです。いかに素晴らしいチームを作るかが目標達成のカギだったりします。そして出会った優秀な人たちを魅了することができれば、自然と優秀なチームができてくるはずです。リチャード・ブランソンはその能力が卓越しているわけですね。
以上、リチャード・ブランソンの経歴と特徴について見ていきました。イーロン・マスクとはライバル関係にあるリチャード・ブランソンですが、二人が共演している動画もあります。イーロン・マスクもリチャード・ブランソンも喋る姿を見てたらとても優れた人物だということがわかりますね。奢ることなく、真摯な姿勢を貫いています。